ゴルフのスイング中に肘の内側に痛みを感じる方は、ゴルフ肘を発症している可能性があります。正式名称は上腕骨内側上顆炎で、放置すると日常生活にも支障をきたす症状です。本記事ではゴルフ肘の治療方法をはじめ、原因や予防方法、効果的なストレッチについて詳しく紹介します。
ゴルフ肘とは何か
ゴルフ肘の正式名称は上腕骨内側上顆炎です。肘の内側にある骨の出っ張りに付着する前腕屈筋群の腱に、炎症や変性が生じています。主な症状は肘内側の鋭い痛みや圧痛で、手首を手のひら側に曲げたり物を強く握ったりする動作で痛みが強まる点です。症状が進行すると握力が低下し、前腕から小指や薬指にかけてしびれを伴うこともあります。発症する年代は40代から60代が中心です。
参考サイト:SBC整形外科クリニック西新宿本院
テニス肘との違い
肘の痛みを伴う症状には、テニス肘と呼ばれるものも存在します。テニス肘は上腕骨外側上顆炎といい、肘の外側に痛みが生じる点がゴルフ肘との大きな違いです。バックハンドの動作で発症しやすいテニス肘に対し、ゴルフ肘は主に手首を曲げる動作で負荷がかかります。痛みの場所や動作の特徴を把握しておくと、症状の見分けや適切な対処につながります。
ゴルフ肘の治療方法
ゴルフ肘の治療は保存療法が基本となり、症状の程度に応じて先進的な治療や手術も検討されます。
参考サイト:シンセルクリニック
保存療法による治療
保存療法では、まず痛みを誘発する動作を避け、4〜6週間ほどの安静を保つことが推奨されます。炎症を抑えるために、運動後や痛みがある時は15〜20分程度のアイシングが効果的です。あわせて消炎鎮痛剤による薬物療法や、エルボーバンドなどの装具療法を取り入れ、腱への負担を分散させます。痛みが落ち着いた段階では、前腕屈筋群のストレッチを少しずつ取り入れていきます。
先進的な治療の選択肢
保存療法だけで十分な改善が見られない場合、より専門的なゴルフ肘の治療法が検討されます。PRP療法は血液成分を利用して組織修復を促す方法で、副作用が少ない点が特徴です。体外衝撃波治療は、衝撃波を患部に当てて組織の再生を促進する治療法です。ほかにも、癒着を剥がすハイドロリリースや、異常な血管を減らすカテーテル治療などが選択肢として挙げられます。
手術療法が必要なケース
保存療法や先進的な治療を6〜12ヶ月続けても改善しない場合は、手術療法が検討されます。手術では、変性した腱組織の切除や骨棘の除去、腱の再縫着などを行う方法です。神経の症状を伴う場合は、尺骨神経の剥離術を併せて行うこともあります。手術はあくまで最終的な選択肢であり、多くの場合はまず保存療法が優先されます。
ゴルフ肘の主な原因
ゴルフ肘の原因はひとつではなく、スポーツ動作から日常生活の習慣まで多岐にわたります。
スイング動作による原因
ゴルフ肘の原因として多いのが、スイング動作に関わる負担の蓄積です。体幹を使わず手先だけでクラブを振る手打ちスイングは、肘の内側に強い牽引ストレスをかけます。また、クラブが地面を叩くダフリの衝撃も、手首を通じて肘へ直接伝わりやすい動きです。グリップを強く握りすぎる癖も前腕の筋肉を緊張させ、腱への負担を増やす原因となります。
日常生活や仕事上の原因
ゴルフ肘はスポーツだけでなく、日常生活や仕事の動作からも発症します。長時間のパソコン作業やマウス操作は、手首を反らせる筋肉に負担をかけ続けます。重い荷物の持ち運びや、雑巾絞りといった家事動作も原因のひとつです。大工仕事など工具を使う作業も、手首や前腕への反復ストレスを招きやすい動作といえます。
加齢などのリスク因子
ゴルフ肘の発症には、年齢に伴う腱の変化も関わっています。40代以降は腱の柔軟性や強度が徐々に低下し、負荷に対する耐性が弱まる傾向にあります。加えて、喫煙や肥満といった生活習慣も、組織の修復力を下げる要因として挙げられます。複数の要因が重なることで、発症リスクはさらに高まるといえるでしょう。
ゴルフ肘の予防方法
ゴルフ肘を防ぐには、スイングや日常動作を見直し、肘への負担を減らす工夫が欠かせません。
スイングとグリップの見直し
予防の基本は、体幹や下半身主導のスイングを意識し、手打ちを避けることです。グリップは強く握りすぎず、クラブの重さを感じられる程度の力加減を保つとよいでしょう。インパクト時に肘を強く絞りすぎる動きも、負担を増やす一因となります。練習場の硬いマットでダフった際の衝撃にも注意が必要です。
出典元:GOLFavo ゴルファボ
日常生活での注意点
デスクワークが多い方は、こまめな休憩を挟み、手首が不自然な角度にならないよう環境を整えましょう。リストレストの活用も、手首への負担軽減に役立ちます。重い荷物を持つ際は、手首だけでなく腕全体を使う意識が負担の分散につながる動作です。運動前には全身のストレッチや軽い運動を行い、筋肉の柔軟性を高めておくことも予防につながります。
症状緩和のストレッチ
続いて、症状の緩和に役立つストレッチと、回復期に取り入れたい筋力トレーニングを紹介します。
参考サイト:青山筋膜整体理学ボディ
前腕屈筋群のストレッチ
ストレッチは腱への負担を軽減し、再発防止にも役立ちます。ただし、強い痛みがある急性期には行わないよう注意してください。腕を前に伸ばして手のひらを上に向け、反対の手で指先を持ちながら手首をゆっくり手の甲側へ反らします。心地よい伸びを感じる位置で10〜30秒キープし、3〜5セット繰り返すのが目安です。あわせて胸椎や股関節の柔軟性を高める動きを取り入れると、スイング全体の負担軽減にもつながります。
回復期の筋力トレーニング
痛みが完全に落ち着いた回復期には、再発防止のために筋力トレーニングを取り入れます。ペットボトルなど軽い重りを使ったリストカールは、手首の曲げ伸ばしで前腕の筋力強化に役立つ運動です。あわせてハンドグリッパーを使ったグリップトレーニングを行うと、握力向上やクラブの安定につながります。なお、痛みが残る段階でのトレーニングは症状悪化を招く恐れがあるため、必ず様子を見ながら進めましょう。
まとめ
ゴルフ肘は、手打ちスイングや日常動作の積み重ねによって発症しやすい症状です。治療は保存療法を基本とし、改善が見られない場合は先進的な治療や手術も選択肢となります。日頃からスイングの見直しやストレッチを取り入れ、肘に負担をかけない身体づくりを意識し、無理のない範囲で継続していきましょう。

